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剛の指先が伸ばされる。
こちらの反応を窺う様に、ゆっくりと。
俺が応えなければそのまま離れて行く、選択権を委ねた狡い誘い方だった。
優しい視線が、苦しい。
剛を好きになった始めの頃は、今とはちょっと違っていた様な気がする。
『KinKi Kidsの堂本剛』を、たった一人の相方である彼を、引き止める為に縋った感のある恋は、もっと打算的だった。
こうすればこうなる、と言う計算式のまま手を伸ばした。
離したくなかった弱さは、確実に子供のそれであるが。
幼かったあの頃の方が自分はもっとあざとかった筈だ。
それなのに、今は。
唯の人間として、仕事の枠なんかとっくに越えた領域で、飽きる位傍に居続けた堂本剛そのものを愛していた。
その存在ごと、全部好きだった。
自分でも笑える程に、剛ばかりが大切だった。
まるで引力の様に、差し出された指先に手を伸ばす。
窺う様な真似をしなくたって結果がどうなるか位、この人は分かっているだろうに。
意地が悪い。
光一の手を握り締めた剛は、さっきの優しい表情なんてなかった振る舞いでその薄い身体を引き寄せた。
簡単に収まる身体が柔なのは、相手が剛だからだ。
唇だけで笑むその表情は、怖い位なのに。
俺はこんなにも、馬鹿みたいに、この男に恋をしていた。
多分、一生ものの命懸けの恋を。
2011/02/11 halfwaytale Trackback() Comment(0)
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