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昔、まだこの世界に入って間もない頃、俺はサーカスの見せ物にでもなった気分だった。
芸をする物珍しさに惹かれて、見に来る人々。
ステージの上は苦しい場所でしかなかった。
あれだけ広い場所にどうしようもない閉塞感を覚えて。
視界に映る全てが歪んで醜いものだった。
俺は芸を仕込まれたライオンやない。
お前等に見られる為だけに生まれて来た訳やない。
此処にいる自分を必死に否定して、何も見ずに唯闇雲にもがき続ける。
そんな時代が確かに自分にはあった。
でも今は、少し違う。
守りたいものが出来たから。
大切にしたい事が増えたから。
「剛、行くで」
「ぉん」
この人と手を繋いで。
俺は、この広いステージの上を生き続ける。
彼と二人、自由な姿で。
2011/02/11 halfwaytale Trackback() Comment(0)
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