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「お前はほんま分かりづらい子ぉやね」
「何やそれ、どーゆー意味やねん」
「言った通りですよ」
ごくありふれたレギュラー番組の打ち上げでの、ごくありふれたKinKi Kids風景だった。
これだけの大人数で来ているのに、隣同士で座るコンビと言うのはどうなんだろう。
なんて突っ込みは、今更過ぎて誰も触れられない。
「別に俺はビールおかわりしたい、言うただけやで」
「やから、分かりづらいねん。お前、今日拗ねてたやろ」
「……そんなんあらへん」
「拗ねてましたよ。自分で充分分かってるやん」
視線を逸らしたのに覗き込む様に追い掛けられて、光一は逃げ場を失った。
収録中に腹を立てたのは本当だったけれど、別に拗ねた訳じゃない。せっかくこの後一緒に打ち上げに行って帰れると思ったのに、休憩中に剛は友達と出掛ける約束をしていて。
あー今日は一緒にいられないんやって、ちょっと悔しくなっただけ。
ずっと一緒に過ごす時間が取れなかったから、少しでも取り戻したいと思ったのは、身勝手な我儘だった。
それなのに今、剛はちゃんと自分の隣にいる。
「ここでべろんべろんになるまで飲んで、帰らん気やろ?」
「ビール飲んだ位でそんなに酔わへんわ。剛じゃあるまいし」
売り言葉に買い言葉の要領で、光一はどんどん不機嫌になって行く。それこそ剛の思うツボだった。
「俺はお前送るつもりやから、最初から飲んでません」
「そんなん頼んでへんわ。一人で帰れる」
「タクシー呼んで、マネと一緒に?」
「そうや」
「つよちゃんが此処におるのに?」
「お前、終わったら出掛けるんやろ」
「そんなんとっくに断ったわ」
阿呆な子やね、光ちゃんおるのに出掛ける訳ないやろ。
少しでも一緒にいたくて、引き留める様に飲んでいるのは知っていた。
その不器用な素直さが好きだと思う。
光一の独占欲は、単純に直裁的に剛の自信だ。
「帰って飲み直そ」
「嫌や。まだ此処おる」
「家やないと飲ませてやれんのやもん。つよちゃんつまらんわ」
「別に一人で酒位飲めるっちゅーねん。阿呆か」
言われた事の真意は伝わった様で、微かに頬を染めて乱暴にビールを煽った。
あれだけありとあらゆる厭らしい事をしているのに(主に剛の探究心とオタク心のせいだったが)、この純真さは何だろう。眩しい物を見る表情で剛は手を伸ばす。
熱い頬に触れて、光一の好きなやりようで笑ってみせた。
「帰っていちゃいちゃしたいねん」
「……阿呆ちゃうか」
「口の減らん子ぉやわ」
その割にワンパターンですけどね。駄目押しにこっそり耳に口付けると、光一は帰ると呟いた。
家でいちゃいちゃが好きなのは、何も剛だけじゃない。
しかし頃合いを見計らって帰ったKinKi Kidsは、未だ気付いていなかった。
いちゃいちゃしてるのは24時間年中無休、その上所選ばずである事に。
2011/02/11 halfwaytale Trackback() Comment(0)
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