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一人じゃ上手く笑えない自分を知っている。作り物の笑顔ばかり覚えた自分がいる。
それに後悔はなかった。全て生きて行く為に選んだ事だ。本当に笑う事が出来なくても構わない。そう、諦めていたのに。
雨の降る夜は不安が募る。
根拠のない感情は嫌いだった。何処に行ったら良いか分からなくなる。
妙な浮遊感と、止まらない焦燥感。こんな夜は、誰か傍にいて欲しかった。
それが誰でも良ければ、もう少し自分には救いようがあったと思う。ホテルの部屋は疑うべくもなく一人で、此処にいて欲しい人は遠い場所。
寂しいとやっと言えるまでになったのに。言葉にしたい時に限って、彼は隣にいてくれない。
ベッドに寝転がっても消えない臆病。傍にいて欲しい。ステージの上で楽しければ楽しい程、寂しさは募った。
俺を一人にしないで。
夜は深い。連絡を取る事は出来なかった。
溜め息を一つ零して、部屋中に悲しみをちりばめる。
此処にはいられないと悟って、力の抜けた身体を起こした。
「秋山んとこ行こ……」
決意して呟くと、携帯をベッドに投げて部屋を出た。
几帳面な後輩は、きっと自分を投げ出さずに迎えてくれる。
弱くなった自分に少しだけ甘えて、傍若無人な素振りで同じフロアの部屋に逃げ込んだ。拒まずに開かれる空間。
ドアを開けた後輩は、困った様に笑んで優しく抱き締めてくれた。
楽しい時間は、いつも長く続かない。
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2011/02/11 halfwaytale Trackback() Comment(0)
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